プロローグ

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   背の高い男は、目を閉じ迷いの中で答えを出そうともがいている。  いかにして思い至ったのか、彼は目を見開くと一言「分かった」とだけ言った。  三人の意志は、これにより共通のものとなる。  小柄な男が、カーテンを少しだけ開く。  陽光が差し込み、部屋の中央のテーブル上を照らす。  そこには、一枚の写真が置かれている。  一人の女性と、三人の少年少女。  これこそが、三人の決意の根源なのだろうか。背の高い男性と女性は、その写真に視線を落とし小さく「助けるから」と呟いた。  そして示し合わせたように、三人が同時に唇を強く結んだ。  窓の外には、巨大なオフィスビルがそびえ立っていた。      
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