第十三章 大企業の末路

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  「まぁ、気長に待つしかねぇけどな」 「ですが、警部補。この事件が終わってしまえば、私たちはまた和泉を追う事が出来なくなります」 「別に、表向きに捜査する事もねぇさ。常日頃から、奴について気にかけてりゃいい」 「はぁ……」 「それに何かありゃ、俺が声をかけてやる。その時には、手伝ってくれるよな?」 「はい、勿論です」  松本は、その返事だけ声を張った。それにより、注目を浴びるハメになった。しかし彼女は、気にする事なく笑顔を浮かべている。  やはり彼女の気持ちは、酒出に対し特別であるのだ。  そしてそれは、和泉に対しても。  気持ちの方向性は違っても、千葉北署の刑事課の人間にとって和泉は特別なのだ。それは、酒口であっても。  その酒口は、未だ起きてくる気配が無い。    
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