第十三章 大企業の末路

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             3    和泉 則之は、不機嫌な顔で潜伏先の自分のスペースにいる。  広大な屋内スペースを五等分にし、その一つが和泉の場所である。最新の高性能パソコンや周辺機器が、中央の椅子を取り囲むように所狭しとデスク上に並ぶ。  不機嫌な原因は、椅子に座り誰かと携帯電話で話している為。  電話の相手が不愉快というより。その内容が、気に入らないようである。しばらく話した後、電話を切り頬杖をついた。  そんな和泉に、仲間のミレイが声をかける。 「どうかしたの?」 「本田から電話で、今話題の唐橋物産の事件で。犯人が、私の名を出したそうなのです」 「勝手に名前を使われ、不機嫌って訳ね」 「そうではありません。どうせ私の名を使い事件を起こすのなら、柿崎警視の手柄になるような。高度で難解な、犯罪計画を練り実行して欲しいと思っただけです」 「相変わらず、捻じ曲がった発想ね」
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