第十三章 大企業の末路

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   共有スペースは、室内の中央にある為に各人の場所を見渡す事が出来る。そこでミレイは、もう一人の仲間へ視線を送る。  口数の少ない、トレーニング男。  個人スペースにトレーニング器具を並べ。ここにいる時は、ほぼ汗を流している。何を考え、何の為に和泉と手を組んだのかミレイですら知らない。  だから時々姿を消しても、どこに行ったのかも知らないのだ。  互いに詮索しない事。それが、ここのルールである。  ミレイよりは歳上だが、和泉よりは若い。鍛え上げられた肉体は、人間のそれというより肉食獣のようなしなやかさを感じさせる。  そして、時折放つ殺気。  大抵の事では動じないミレイだが、その殺気によって眠っていても飛び起きてしまう事がある。和泉の話しでは、幾つかの格闘技を身に付けているそうだが。その強さの上限は、計り知れない。  警官ですら、素手で倒せそうに思う程に強そうではある。
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