第十三章 大企業の末路

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  「実は、世界最強の男だったりしてね」  ミレイはそう軽口を叩いたが、あながち冗談に聞こえない肉体である。芸術を志す者なら、その肉体を題材に作品を作りたいと思うだろう。  和泉がもし、自身の計画に彼を投入したならば。現場に、死体がいくつも転がる事となる筈。それを思い浮かべると、流石のミレイも背筋が寒くなる思いだった。  しかし、その和泉が動かない。  しばらくは、自由にしてていいと先日言ってから。和泉は和泉で、何をするでもなくパソコンに向かうばかりであった。何かを、調べているようではある。  次の事件の為に、情報収集しているのか。  ネット上に氾濫する、彼への殺人依頼の中から気になるものを探しているのか。 「そろそろ動いてくれないと、退屈で仕方ないけどね」  寡黙な男のトレーニングを見飽きたミレイは、そうボヤキながら和泉の元へと戻ってくる。しかし和泉は、変わらず動かない。
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