1995人が本棚に入れています
本棚に追加
そこでミレイは、退屈しのぎに和泉に声をかけた。
「それにしても、本田は仕事が早いわね」
「彼は、キャリア組の中でも事件捜査には使えぬ男。ですが、何事においても基本に忠実なのです。報告・連絡・相談は、ビジネスにおける基本中の基本ですからね」
「だから、S。スパイに引き入れたのね」
「それなりの手柄を与えておけば、それなりの仕事はするでしょうから」
和泉は、抑揚の無い声で言った。
彼の本田に対する感情は、その声程度のものなのだろう。
そして今、千葉県警内において。本田の上げている手柄の全ては、和泉が絡んでいるという事だ。和泉が起こした事件というより。発生した事件に対し、和泉が推理をし本田に伝えているようだ。
しかしそれでも、腑に落ちない事がある。
千葉県警には、柿崎という和泉が崇拝する警視がいる。県警の裏の体制として、難事件や大事件は彼にお鉢が回っていた。
最初のコメントを投稿しよう!