第十三章 大企業の末路

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   そこでミレイは、退屈しのぎに和泉に声をかけた。 「それにしても、本田は仕事が早いわね」 「彼は、キャリア組の中でも事件捜査には使えぬ男。ですが、何事においても基本に忠実なのです。報告・連絡・相談は、ビジネスにおける基本中の基本ですからね」 「だから、S。スパイに引き入れたのね」 「それなりの手柄を与えておけば、それなりの仕事はするでしょうから」  和泉は、抑揚の無い声で言った。  彼の本田に対する感情は、その声程度のものなのだろう。  そして今、千葉県警内において。本田の上げている手柄の全ては、和泉が絡んでいるという事だ。和泉が起こした事件というより。発生した事件に対し、和泉が推理をし本田に伝えているようだ。  しかしそれでも、腑に落ちない事がある。  千葉県警には、柿崎という和泉が崇拝する警視がいる。県警の裏の体制として、難事件や大事件は彼にお鉢が回っていた。
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