第十三章 大企業の末路

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   家が無くなっている者。  そうした人々は、未だ病院やホテル住まいである。当然、唐橋物産があの状態では、仕事に関しても失ったようなもの。それは、益子も同様ではあるが。  こうした話題は、ガールズバーには相応しくは無かろう。ただ、早い時間帯で他に客の姿は無く。話題の内容まで、気にする必要は無かった。  そうした中、益子が新たな話題を持ち出す。 「実は、先ほど会社からメールが来たのです」 「会社って、KHオフィスからか」 「いえ、酒出さん。本社の方からだったんです」 「本社から直々に、お前さんに何の用だ?」 「再就職のアテが無ければ、次の仕事を探すのを待って欲しいといった内容でした」 「何だか、回りくどい話しだな」 「私も訳が分からず、本社に問い合わせたのです。ですが、同じような人間が多いのか、電話がつながらないんです」  問い合わせは、監禁者ばかりではあるまい。
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