第十三章 大企業の末路

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   株主からの由美江社長案に対し、一族は反対の声を上げる。だからと言って、唐津に代わる社長の人選には頭を悩ませている。  それでも、任せられそうな人間は大方逮捕されている。残った者の内、白羽の矢が立った者は「自信が無い」と腰が引けている。  このような会社の状況である。  世間からのバッシングを受けながら、傾いてしまった会社経営を立て直すなど並大抵の事ではない。それができる人間なら、唐津から声がかかり、例のプロジェクトに参加していた筈。  ならば由美江には、それが出来るというのか。  警察・検察としては、企業恐喝の事件よりも、唐橋の行っていた監禁労働事件の方を重要視している。由美江自身、それを薄々感じながら通報しなかった事は、罪に問われ兼ねないという見方もある。  だがそれ以上に、今回の事件解決に尽力したという見方の方が強かった、  故に、罪には問われないで済みそうだ。
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