第十三章 大企業の末路

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   そうなってくると、元々唐津の側にいて会社の舵取りを行っていた彼女である。  次期社長の適任者として、筆頭にいるといって良いだろう。いずれ、唐津の一族も彼女を社長にと認めると思われる。  いや、もう認めたのかもしれない。  元々前社長の補佐をさせる為に、秘書として送り込んだのは唐津の人間である。彼女の優秀さは、十二分に理解しているだろう。そして、そうした内示が出ているから。由美江が動き、監禁者の再就職に関し連絡を送ったと推測が出来る。 「彼女らしいといえば、彼女らしい対応の早さと内容ですね」  松本は、自身で納得しつつ。報告の全てを終えたとばかりに、頷いて口を閉ざす。  それを聞き、酒口が満面の笑みで益子の肩に両手を乗せて喜びの声を上げる。 「じゃあ、益子さん。もしかしたら新生唐橋物産で、本社勤務って話しもあるかもしれませんよ」 「いやぁ。私は元の職場に戻れれば、それで」
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