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「もう、お父さんたら欲が無いんだから」
「しかしな、元の職場への愛着もあるんだよ。それに本社に行っても、私に何が出来るのか」
「もう、それでも娘に格好良いお父さんを見せて欲しいよ」
美結の言葉で、一同に笑いが起きた。
それにより、ようやく和気あいあいとした雰囲気が店内に広がった。事件が解決していなければ、こんな話しなど出来ていなかった。
益子は、一人背を向け密かに涙する。
そこへ、例の中年女性が「私のオゴリよ」と。生ビールの大ジョッキを、カウンターに人数分並べた。
「いやぁ、ガールズバーも良いもんですね」
初めてのガールズバーという事もあり、酒口は浮かれてそんな事を口にする。彼女がそれを聞いたら、どんな事になるだろうか。
酒出と松本は、呆れながらそうした事を考える。程なくして、予想通りと言おうか。予想より早くと言おうか、酒口は酔い潰れてしまったのであった。
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