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松本は、酒口の背中に手をやりながら言う。
「もう、仕方が無いわね」
「いいじゃねぇか。今回は酔って、手柄がどうとか言いださなかったんだしな」
「それも、そうですね」
「それに今回のヤマで、関係者は焼き物の名産地に絡んだ名前の人間が多かった。そいつを共通点だと、騒がなかったのも助かっただろ」
「それは、警部補。酒口くんが、気付かなかっただけではありませんか」
「ははっ、そいつの方が可能性が高いな」
「ねぇ、この人。そんな事で刑事が務まるの?」
「それはな、真理亜。俺や菊乃ちゃんでも、かなり手を焼いているんだ。何せ、運だけで刑事になり、運だけで刑事を続けてる奴だからな」
その話しで、一同にもう一度笑いが巻き起こった。本人は、みんなから笑われているとも知らず。小さくイビキをかきながら熟睡している。
やがて話題は、益子の再就職後の仕事について盛り始めていた。
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