エピローグ

7/7
1994人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
   和泉は、そうしたダミーをどれだけ世に放ったのか。  その数によっては、撮影場所の範囲が果てしなく広がってしまう。和泉としては、それが目的なのだろう。そう、潜伏先を特定されない為。  撮影場所の周辺に潜伏先があるのか。  それとも、潜伏先を避けて撮影されたのか。  和泉が相手では、そのどちらかと決め付けての捜査は危険を伴う。逆に、今まで通りの捜査を継続する方が近道に思えた。  今現在の捜査で潜伏先に近付いたから、目くらましを放った可能性が高い。  柿崎にしても、酒出にしても自らの手で和泉をと考えている。それだけに、こうした事をされると面倒だと舌打ちしたくなる。  その分、あの男への逮捕への執念は高まっていくのだが。  酒出は、「話しが終わったのなら帰る」と立ち上がると、柿崎の二人の部下の肩を叩いて会議室を出た。  その顔に、和泉の顔を思い浮かべて。      
/912ページ

最初のコメントを投稿しよう!