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orange side.
「千晃さん。飲み過ぎですよ。」
「ん~……。」
深夜遅くまで続いた、会社の人同士での飲み会。
千晃さんと俺は、ただの先輩と後輩だが、他の同僚の奴よりかは仲が良いと思う。
「伊藤どうした~?もう潰れちゃったか?」
「…みたいですね。ちょっと俺、送ってきます。」
「おお、そうか。じゃ、頼んだぞ。」
そう言う部長に軽くお辞儀をして、彼女を立たせる。
だけど、フラついている足でやっと立てたくらいだ。
こんな調子で大丈夫なのかな?と心配にもなる。
「千晃さん。」
俺は、彼女に声をかけながら店を出た。
外は思っていた以上に寒くて、ガシっと彼女の肩を掴んで歩いた。
外の寒さに目が覚めたのか、俺の腰に手を回してきた。
それだけで、ドキッとしてしまう俺の心臓は、弱いのかもしれない。
「……まだ飲み足りないのになぁ。」
「ダメですよ。」
「今日くらい、いいじゃん…。」
俺は飲み会の初っ端から不思議に思っていたことを彼女に問いかけた。
「何かあったんですか?」
そう。彼女は、一人でずっとお酒を飲んでいた。
あまりお酒が強くないと噂の彼女だったから、見ていて不思議に思うのも無理はなかった。
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