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「おめでたいことじゃん。それの何を悩む必要があるの？」
「だって…、初めてなのに、どうして、あのタイミングで、あんな場所で…。」
「要するに、千晃はもっとロマンチックなキスを想像してたのね。」
「っ……そういう訳じゃ、」
「だけどさ、好きな人とキスができるって、すごく幸せなことじゃない？ それに彼氏とだよ？ 何も悩むことはないし、考えることもないよ。」
…実彩子の言うとおりだ。
だけど、どうしてだろう。
素直に首を縦に振ることができない。
「西島くんだって、好きじゃなかったらそんなことしないはずだよ。」
「そうかな…。」
「うん。だから安心しろっ。」
意地悪な顔をして微笑みながら
ぎゅっ と抱き返してきた。
「でも良かった。アイツに酷いことをされたんだと思ってたから、アイツぶっ殺すところだったよー。」
サラっと怖いことを笑顔で言う実彩子。
でも、そうゆうところも実彩子らしくて
大好きだなぁって染み染み思う。
怒ったら本当に怖いけどねっ。
そして、
ユラユラと揺れながら抱き合っていると
「いい加減離れろっつーの。」
「はー？邪魔すんなしっ。」
「実彩子に言ってねえし。てか、はよ離れろよ。」
「ヤーダーねっ！」
秀ちゃんが割って入ってきた。
それに、なんだか微笑ましいやり取り…。
見ているだけで
心が温まるというか、なんというか。
とりあえず、面白いから
ツッコんでみる。
「秀ちゃんも実彩子のこと、ぎゅってしたいの？」
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