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放課後。
とても嬉しそうな顔で、
急ぎ足で学校を後にするミナトを見送った後、
本当は寄る所なんてない僕は人気のない教室で、ぼーっと外を見つめていた。
「 はぁ… 」
口から漏れるのは溜め息ばかり。
こんなに苦しいのに、
辛いだけだって分かってるのに、
なんで好きな気持ちは膨らんでくんだろう。
(さっきの嬉しそうなミナト、なんか可愛いかったな… )
思い出して、1人ニヤける。
こんな些細な事にも、ぎゅっと掴まれてしまうのは、惚れた弱みなのかな…
(ミナトが幸せそうに笑うなら、それでいい‥ )
(僕は親友として、隣で、その顔が見れるなら、それでいい‥ )
夕日の温かなオレンジ色を見ながら、
自分に言い聞かせるように、そう思った。
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「ユキー、ごめん!」
休み時間やってきたミナトは、僕のもとに来るなりいきなり両手を合わせてそう言った。
「え、何、どうしたの!?」
「日曜、ダメんなった…。」
「!」
日曜は、一緒に映画を見に行こうって約束をしていた。
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