好きな人の好きな人

7/25
前へ
/753ページ
次へ
「なんか、一緒に出掛けようって誘われちゃって…。」 “ 誰に? ” なんて、聞かなくても分かる。 その、照れくさそうな‥ 嬉しそうな顔を見れば…。 なら僕の返事は、もう決まってる。 「‥っそんなの彼女優先するのが当たり前じゃん!僕は気にしないで楽しんできなよー」 自分で言った言葉に傷付く。 そう、僕はミナトの友達で。 “ 彼女 ” には適わない。 「ユキ‥ 本当ごめんな。さんきゅ。」 「いいっていいって!ってかラブラブで羨ましー」 ほんと、羨ましい。 恋人として、ミナトに大事にされてることが。 ほんと、羨ましいと思う。 予鈴が鳴って、教室に戻るギリギリまで、ミナトは申し訳なさそうな顔をしていた。 (ミナトは本当に、優しいからな‥ ) でも今は、逆にその優しさが辛い。 気をつかわれると、なんだか自分が余計に惨めな気持ちになるんだ…。 ( 映画、楽しみにしてたのになぁ‥ ) 心が一気に沈んでいく。 「 はぁ… 」 重い溜め息は、本鈴にかき消されていったーー。
/753ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加