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「なんか、一緒に出掛けようって誘われちゃって…。」
“ 誰に? ” なんて、聞かなくても分かる。
その、照れくさそうな‥
嬉しそうな顔を見れば…。
なら僕の返事は、もう決まってる。
「‥っそんなの彼女優先するのが当たり前じゃん!僕は気にしないで楽しんできなよー」
自分で言った言葉に傷付く。
そう、僕はミナトの友達で。
“ 彼女 ” には適わない。
「ユキ‥ 本当ごめんな。さんきゅ。」
「いいっていいって!ってかラブラブで羨ましー」
ほんと、羨ましい。
恋人として、ミナトに大事にされてることが。
ほんと、羨ましいと思う。
予鈴が鳴って、教室に戻るギリギリまで、ミナトは申し訳なさそうな顔をしていた。
(ミナトは本当に、優しいからな‥ )
でも今は、逆にその優しさが辛い。
気をつかわれると、なんだか自分が余計に惨めな気持ちになるんだ…。
( 映画、楽しみにしてたのになぁ‥ )
心が一気に沈んでいく。
「 はぁ… 」
重い溜め息は、本鈴にかき消されていったーー。
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