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好きだ。大好きだと告白された。幼馴染みの彼から告白されるのはこれが初めてではなく二回目だと記憶している。初めての告白は好きとか愛しているをすっ飛ばして結婚の申し込みだったけど、しかもその時の彼の表情は告白をしているような可愛いものではなく青ざめて震えて今にでも倒れてしまいそうなものだったけど、二回目は、うん、それに比べるとだいぶマシだったように思える。というか普通に動揺してしまうくらいにはカッコ良く思えてしまった。
就職休みに入ってから彼とは会っていない。連絡手段として使っていたメールも電話も告白されたあの日からやっていない。家がお隣同士で同じ二階に部屋があるので、カーテンを開ければすぐ彼の部屋が見えるのだけどその呼び掛けをも最近は行っていない。まず、どんな顔をして会えばいいのか分からなかった。感覚的には弟のように思っていたので正直に言えば男の目をした彼に会うのが少しだけ怖い。別に危害を加えられる訳でも、気弱な彼がそんなことするとも思えないのだけど気が進まないのは確かだった。
ベットの上で寝転び抱き枕を抱き締めながら携帯を弄る。勿論ながらあいつからのメールはない。ついでに電話もない。呼び掛けもないし、完全に距離を置かれているのが分かる。親からは喧嘩でもしたのとか言われるけど、これは喧嘩じゃない。ただ気まずく気恥ずかしいだけで、告白された日に気が動転して殴り飛ばしてしまったから連絡を取りづらいとかそんなんじゃない筈だ、多分。
「……好きです、か」
あの日のあいつと初めて告白された日のことを思い出す。あれは確か小学生のときだった。何がきっかけかはもう覚えていないけど、妙に緊張した面持ちであいつが話し掛けてきたのを覚えている。っていうか緊張を通り越してカッチンコッチンとなり、顔も赤ではなく青色に染まっていたから忘れろという方が無理だ。人間の顔があそこまで変色すると分かったのはあれが初めてだった。それほど印象に残っている。
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