告白の返答

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「俺の電子辞書知らねぇ?」 「知らない。私使ってないもん」 「本当か?おっかしいな、持ってきたと思ったんだけどな」 「前もそーいって学校に置き忘れてたじゃん」 今回もそうなんじゃないの? と言葉を続ける前に兄貴がベットの脇に座った。床に胡座をかいて付けっぱなしにしていた小型テレビのチャンネルを弄る。 「辞書探しに来たんじゃないの?」 「んー?だって、凛持ってないんだろ?学校に置き忘れてるかもしんねぇし、もういいや」 「諦めるの早いよ、もう少し粘れ」 「粘ったよ、粘った結果見つかんなかったんだから諦めるしかないだろう」 「そうですね」 会話を諦めた。今年大学生になった兄貴は大学に入ってから諦めやすくなったような気がする。高校生までは結構粘り強くしつこかったというのにどういう心境の変化なのだろうか。大人になるとはこーゆうことを示すのだろうか。本当にしつこかった兄貴に辟易していた頃の私が今の兄貴を見れば諸手を挙げて喜ぶのだろうけど、今の私からすれば寂しいだけだった。
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