告白の返答

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「そーいえばさ」 チャンネルを弄くりながら兄貴が声をかけてくる。映像が入れ替わる様子を見続けていると段々と気分が悪くなってくるのだが兄貴は気にも止めない。 「お前、すずにコクられたの?」 さらりと爆弾を落とされたような気分だった。思わずむせる。なんで、なんで、誰にも言ってないのに! しゅううっと顔に熱が集まり、睨み付けるような勢いで兄貴を見た。しかし兄貴は私のことなど、どうでもいいというようにテレビに釘付けである。 「何故、知ってる」 「だって、お前ら分かりやすすぎるんだもんよ」 「分かりやすい?」 「前はやめろってもベランダ越しで話したりするし、暇さえあれば互いの家に入り浸ってるし、毎日毎日メールしてたじゃん。それがパッタリとなくなるってことは、なんかあったんだろう?すずは昔からお前のこと好きだったし、だから告白されたんかなって」 確かにほぼ習慣のようにやっていたことがある日を境にパッタリと無くなったらなんかあったのかなと思うのが普通のようには思える。第三者の口から今までやって来たことを聞かされるとどうしてこうも居心地が悪いのだろう。知らない人がここだけ聞いていたらまるで恋人のやり取りだと思った。もし、あいつに告白なんてされていなければ幼馴染みだから仲良いんだよと一蹴していたかもしれないが、告白の返事を返さなければならない立場からすると顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。
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