二月十六日

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「今回も逃げてきたりしてな」 「どーだろう。今回は事情が違うからなぁ。坂口も俺達も今年が最後だし」 「そっか、俺達三年だもんなぁ……。明日から就職休みに入るし」 「お前とも暫くお別れだな」 「そんなこというなよ!遊びにいこうぜ!俺、免許取ったから!」 「知ってたか?卒業まで乗っちゃ駄目なんだぜ?見つかったから普通に怒られるか掃除だぞ」 「乗らねぇと感覚忘れちまうじゃん。就活の為の脚ですっていえば大丈夫じゃねぇ」 「進学組が何言ってんだ」 「あ、そうだった。葉月は就職組だっけ?」 「………まだ決めてない」 時期が時期だというのに俺は何も考えていなかった。進学は出来ないことは分かる。だけどだからといって就職する気もなかった。卒業した後のことなんて全然想像がつかない。勿論、まだ何も考えていないと学校で宣えば先生達との暑苦しく鬱陶しい進路相談が待っている為、就職するとは嘘ついたけど、就職かぁってなる。 「安西は?進学?」 「進学だよ、頭いいしなあいつ」 「決めかねてんなら、安西と同じとこ行けば?一般入試ならまだ間に合うだろ?ギリギリかもしんねぇけど」 「……なんで、そーなんだよ?」 「だって、お前安西好きじゃん」 さらりと当たり前のように言われ噎せた。半溶けのチョコが喉に詰まった。何してんだよぉ、とゴホゴホと咳き込む俺の背中にまわり擦る永田。
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