二月十六日

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「おま、こそ、なに、いって、っ」 「何、その反応。バレてないとでも思ってのか?」 「…………」 「言っとくけど、ほとんどがお前が安西好きだってこと知ってるぞ」 な? と永田が誰かに同意を求める。誰に話を振ってるんだこいつはと思いながら顔をあげると残っていたクラスメイト達がこっちを見て、一斉に頷いた。妙な脱力感が俺を襲う。……マジっすか。 「一年からの付き合いだからな、分かるって」 「気付いてないの、安西ちゃんだけだよね」 「ねー、私達いつもドキドキだったもんね」 「バレバレだよ、葉月ー」 「逆になんで今まで気付かなかったんだよ」 両手で顔を覆う。死にたい。穴があったら入りたいじゃなくてそのまま埋まって死にたい。これだから三年間持ち上がりのクラスはっ! と文句を言う気にもなれなかった。そっか、ばれてたのか、うん、そっか。 「帰る!」 ここに俺の居場所はない。立ち上がり、空っぽの鞄を手に取り脱兎の如く教室から出る。後ろから永田の声とクラスメイト達の応援と笑い声が聞こえたが、振り向かない。っつーか、振り向けない。顔が真っ赤でいつものように振る舞える自信が無かった。
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