温めてやるから

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けれどあたしにはこれを渡さなければならないという使命がある。 インターフォンに添えた震えている指を一度引っ込めて、ぎゅっと手を握る。 そしてまた人差し指を添えて、そのままボタンを押した。 しばらくすると、インターフォン越しに声が聴こえてきた。 『何?』 学からはあたしの姿が見えているからか、凄く不機嫌な声。 「お母さんが、おかずを持っていけって。ドアノブに掛けておくから、食べて」 それだけ言うと、学の返事を待たずに紙袋を掛けてそのまま学の家から離れた。
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