温めてやるから

30/32
前へ
/32ページ
次へ
けれどその瞬間、 「あら、こんなところで何やってるの?」 手を添えていたドアが開いて、お母さんが顔を出した。 「い、今帰ってきたの!」 助かった、と思いながら学の手を振り払う。 お母さんがいるからか、今度はすんなりと離してくれた。 「もしかして送ってくれたの?」 「え」 「凛のことよ。ありがとね」 学に向かってそう言ったお母さん。 おかずを届けにいったあたしを、学が家まで送ってくれたと思ったらしい。 「うん、そうなの。学、ありがとう。また明日ね」 心の中でお母さんに感謝しながら、そのまま家に入って階段をかけ上がった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1078人が本棚に入れています
本棚に追加