第1章 ある雨の日のこと

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「ふぅーん…」 空斗は自分の疑問が解消されて話題に興味を無くしたのか、ウェザーニュースを見る。 いつものお天気お姉さんが各地域ごとに天気予報をしている。 空斗の住んでいる町周辺は、ちょうど空斗達が登校するであろう時間帯に雨が降るようだ。 「あら~、今日は雨が降るのね。ちゃんと傘持っていくのよ~?」 早苗はそう言うと、キッチンへと自分の食べ終わった食器を置きに行く。 「あ!ヤバい!今日は朝練があったんだ!」 空斗の隣でそう叫ぶやいなや、未羽は大急ぎで朝食を口の中に入れ、早苗が用意した弁当を受け取ると、これまたドタバタと家を飛び出していく。 「あの子も、もー少し落ち着きを持てばボーイフレンドの一人や二人できるのにねぇ…」 キッチンからの早苗のつぶやきに、空斗は苦笑いで返す。 ボーイフレンドが彼氏という意味なら、二人いたらダメなのでは…?という疑問を飲み込んで。 「さて、俺もそろそろ出るかな…」 朝食をゆっくり食べ終わり食器をキッチンの洗い場に置き、弁当をもらって通学用のカバンに入れる。 「傘、忘れないようにね~」 早苗からの注意を聞き、思い出したかのように折り畳み傘を持つ空斗。 「いってきまーす」 家を出る時のいつもの挨拶。 そして今にも雨が降りそうな空模様のなか、片道20分の通学路を歩く。 これが高校二年 日暮 空斗のいつもの変わりない"日常"である。
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