《第8章・まっすぐに…》

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『あはははは!拓也はなんて?』 『【大家さんの仕付けが良いから】噛まないみたいな言い方で』 『あはは、拓也言いそう。あなた達の2度目の再会がこんなんで…まさか1年経たない内に2人が惹かれあおうとはね(笑)』 『惹かれあうなんて…彼女いるのに…』 佳那子は左手を私の膝に置きキュッと握った。 『美和ちゃんが誰が好きなのかよく考えてね、寄ってくところはない?』 ケーキ屋に寄ってもらいいつか買ったシュークリーム6個入を2箱買った。 夕暮れ時になる前6時、佳那子さんは私の両親に挨拶をしお土産を渡してた。 『美和ちゃんまたね』 『佳那子さん、私もお土産渡したいからマンションに行きます』 お父さんにシュークリームを渡し荷物だけ置いて、余白のラインの駐車場スペースに器用に停めるのを離れて見ていた。 松本さんはまた仕事なのか車がない、居なくて良かった… 『お土産渡したら拓也の部屋にくる?』 『そんな…いいです(焦)』『ふうん、まっいいわ』 『佳那子さん温泉に連れて行ってくれたお礼です』 『さっき買ってたシュークリーム?美和ちゃんが食べなさい』 『私のはお父さんに渡してます、だから食べてください』 『まったくもうあなたって娘(こ)は』 シュークリームを玄関に置き私をハグする佳那子さん、こんな感じまで似ているなんて… 佐々木さんにはお母さんとお揃いのアーチ柄のポーチとりんごジャム。 藤永さんにはB5サイズのアーチ柄のファイルとペンケース、りんごのパイ。 菊地さんには何故かうどん丼が売ってたから迷う事なく決まり、りんごのパイ。 みんな喜んでくれて良かった!空になった袋を持って帰ってると松本さんの車とすれ違った。 『美和っ!』 窓を開けて叫ぶ松本さん、後ろの車がクラクションを鳴らす為に悔しそうに駐車場へと向かう。 急いで玄関に入り目を閉じた。 久しぶりに聞く松本さんの声… 忘れなきゃいけない… 忘れなきゃ… お母さんには佐々木さんと同じポーチ、お父さんにはネクタイ。そして、お揃いの湯呑み、2人共に喜んでくれた。 佳那子さんがくれたお土産はりんごとカスタードクリームの入ったミニブッセがたくさん! あの時試食してたの私達の為に。 『佳那子さんにもよくしてもらって…松本さん姉弟には頭があがらないな』 どこまでも上がる好感度!あぁ… 松本さんを忘れなきゃいけないのに… お父さん達は松本さんと佳那子さんの話をする。 忘れなきゃ…
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