《第8章・まっすぐに…》

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佳那子さんが予約した温泉がある地域にはそれから1時間半、高速をおりてすぐ温泉施設の看板があり矢印を示していた。 私は松本さんといる時みたいにはしゃいでしまった。『わぁっ温泉の町だぁ!』窓の景色を見てそう言い振り向くと、佳那子さんは笑いを我慢していた。 『だめ、面白すぎ!(笑)拓也の話す通りだわ』 『松本…拓也さんと?私みたいな高校生の話を?』 『美和ちゃん…で良いわよね、拓也の口ぐせで美和ちゃんって呼んでたけど、初めての電話では吉井さんって呼んだ方が良いと思って呼んでたけど。もう美和ちゃんで良い?』 『はい、佳那子さん』 『美和ちゃんが部屋の掃除してくれた日に拓也がずっとあなたの事を教えてくれたわ』 『松本さんが?』 キュンッ… 赤くなりうつむきスカートの裾を握る。 佳那子さんが左手で私の髪を撫でて笑った、似てるかも! 『今どきいない性格の良い娘(こ)だって拓也言ってた。目が離せないボケッぷりが飽きないって(笑)』 ボケッぷり… 『素直って事よ、さっきみたいにはしゃぐのって連れてくる甲斐があるでしょ』『(苦笑)ボケッぷりですか…』 松本さん私がはしゃぐ度に笑ってたのはこんな意味? あぁ~… 『見て何も感じないよりは美和ちゃんくらい感動してくれた方が良いのよ、最近多いでしょ?無感動な人って』 『そういえばそういう人テレビで見ます』 『あははははっ!テレビ!やっぱり面白すぎ!』 『すみません』 『良いの、良いのよ(笑)拓也が気になるはずだわ』 『松本さんは彼女います』『えっ?今なんて?』 『ううん…何でもないです』 私はまたうつむきスカートの裾を握った。 『どうしたの?』 佳那子さんはまた左手で私の髪を撫でて苦笑した、似てる。 『ほら、さっきより温泉町っぽいでしょ?』 『はい…』 『どうしたの?』 まるでここら辺一帯が別世界のように石畳と砂利道、まわりは丸い街灯があちこちにあり、石畳や砂利道側に浮かぶ川を街灯の光がユラユラ浮かぶ。 『わぁっ!町だぁ!』 『あははっ、寂しい顔より笑ってなさい』 こんな言いまわしも似てるかもしれない… まるで佳那子さんの顔をした松本さんと旅をしてるみたいなの… 松本さん… 考えちゃいけないのに… あなたを忘れなきゃいけないのに… 『美和ちゃん?』 私は呼ばれて佳那子さんの方を向くと見られてたみたいです。 似てる…似すぎてるかも… 車は温泉施設のホテル一帯へと進む。
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