《第8章・まっすぐに…》

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いろいろある宿泊施設…目移りしそうな中で一番に惹かれた施設“ここだと良いなぁ”って思った場所に向けて進路が進み私は歓声をあげた。 Uの字を逆さまにした木々のアーチが施設横にあり遠くからでもわかったの。 このアーチ…かわい過ぎるっ! 『佳那子さんっ、ありがとうございますっ!』 『何?』 『木々の葉っぱと赤の花のアーチが気にいりましたっ!だからありがとうございます、なんです』 佳那子はまた美和とアーチを見て笑い出す。 『拓也が美和ちゃんを連れて歩きたいはずだわ、こんなアーチで喜んでもらって(笑)』 私はアーチや黒と白の建物とプチガーデンに見とれ聞き逃していた。 外観と同じく内装も黒と白で、窓のカーテンはアーチと同じ木々の葉っぱに赤い花のプリント。 黒と白の制服のサービス係の方が車のキーを預かり専用駐車場へと車を移動させてく。フロントで佳那子さんが住所氏名を書き、ここでは緑の着物に赤い帯をしめた女性の方が荷物を運んでくれる。 館内説明後、女湯男湯の使用時間・入れ換え時間を説明された。 サービスのお茶を入れた後女性は部屋を後にされた。5階の真ん中だけあって見晴らしが良く、ここら辺一帯の温泉町と宿泊施設が一望出来る。 お茶とお茶菓子を食べた後並んで景色を見ていた。 『散歩しに行く?』 『はいっ』 ホテルから出て温泉町を歩きながら時折、石畳の側の川に映る景色を眺めた。 白いレースの襟に赤い生地に黒のリボンプリントのワンピース姿の美和を佳那子は携帯で撮った。 『佳那子さん?』 『お土産画像よ(笑)』 『だったら私も佳那子さんを撮ります』 携帯を出そうとすると、いいの、って意味有り気に笑う佳那子さん。 お土産画像? 『はい、今着いて温泉町を歩いているところです……いえ、迷惑だなんてとんでもないです…また電話いたします』 佳那子さんは私に携帯を差し出し『話す?』と代わってくれた。 『あっ、お父さん…うん、良くしてもらってるよ…うん、明日帰るね、えっ佳那子さんに』 私は佳那子さんに携帯を渡すと話す佳那子さんを見ていた。 髪の色は佳那子さんの方が少し黒色が混ざってる。 まつ毛長~い、笑うとやっぱり似てる。 松本さんより少し背は低いけど私より10㌢は高いんだね。 『観察?』 『ごめんなさい』 『(苦笑)きれいかしら?』『きれいです、とっても似てます、あっ…』 『拓也が髪を伸ばしはじめてから仕事先で言われたわ』
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