《第8章・まっすぐに…》

4/32
前へ
/32ページ
次へ
ウエーブがかった肩下10㌢のウエーブが風になびく、触ってみたくて手を伸ばす…サラサラでツヤツヤしてきれい。 良いなぁ… 松本さんと身内で顔も髪も似てるって… 拓也って呼びすて出来るし… 『美和ちゃん…今恋をしてる?』 『恋?あっ……最近失恋しました…』 『失恋!?嘘っ!?』 『告白以前に私…失恋です(笑)』 佳那子は耳を疑った。 渋々ベッドに潜り込まれ仕方なく抱いていた頃のあどけない顔の拓也と、 久しぶりに会ってスタイリストの自覚と自信に満ちた顔の他に色気さえ出てきた大人の表情(かお)をしていた拓也の顔。 拓也は今恋をしてる! 相手は美和ちゃんだと思うのに、あの拓也が美和ちゃんをふった!?まさか? 『彼女本人から聞きました』 『彼女本人?まさか?いるの?』 『はい…』 『ここのご飯美味しいってよ、帰ろっか』『うん』行き交うツーショットの会話から佳那子は我にかえる。『あたしらも帰ろう…』 風が吹きスカートがひるがえり、美和は恥ずかしそうに手でスカートを押さえる。 カシャッ…! 『お土産画像よ(笑)下からも1枚!』 『佳那子さ~ん』 今の風で美和は悲しそうな顔から恥ずかしい顔に変わる。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加