《第8章・まっすぐに…》

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『私からなんて迷惑かもしれないけど…松本さんに』『拓也に直接渡してあげれば良いのに』 『ううん』 会ってしまえばまた会いたくなる… 今みたいにハグをされれば寄り添いたくて、背中に手をまわしてしまいたくなる… 忘れなくちゃ… 『グラス?』 『はい、後レモンチョコパイも』 『そういえば試食味見してたわね、アレ?』 『合うの?って半信半疑で食べたら美味しくて』 『拓也に…渡してあげるわね』 『ありがとうございます』これで松本さんとはサヨナラしなくちゃ…! 一方、松本は。 9時30分すぎ書き込みのチェックをし、ため息をついた。 『減らないわね…美和どうしてるかしら』 携帯を手にしかけてみると今日は電源を切ってないらしいっ、コールが止まり…出たらしい! 『美和ちゃん、あたしよ』嬉しさを隠さずに話しかける。 『はぁい、美和でぇす』 『姉貴っ!えっ?あたし姉貴にかけたはずは…ごめん、またかけるから(焦)』 『合ってるわよ、この携帯美和ちゃんのだから(笑)』『えっ?じゃあなんで姉貴が』 『【美和ちゃん、あたしよ】(笑)こうやってささやくような甘~い声で美和ちゃんに話しかけるんだ(笑)拓也も変わるものね』 『姉貴ぃ、美和に変わってよ』 佳那子は美和に携帯を渡すが、美和は首をふる。 『美和ちゃんは隣で寝てるわよ』 『寝てるの…じゃあ仕方ないわね、起きたら《おやすみ》とだけ伝え…ん?美和の声?姉貴、美和に何をやってるの?』 『耳に息を吹きかけてたら反応してるわ、かわいいかわいい』 『姉貴~、寝てるのに起こしたら可哀想だろ~。美和は感じやすいって言ったでしょ』 『意外に色っぽい声だすのねぇ…声聞く?』 『姉貴、美和寝てるんだろ?可哀想だから寝かせてやってよ』 電話の向こうで『ん…ん…ふぁあ…』って美和の声がする、拓也はドキドキしてきた。『やぁ…もぅ…』あぁ、久しぶりに聞く美和の声、しかも色っぽい。 抱きたい! 『姉貴~頼むよぉ、可哀想だから寝かせてやって』 『聞きたくないの?耳と首すじに息をかけて触っただけよ、あ~あ~、浴衣はだけちゃって(笑)拓也さんって言わせてあげようか?』『もう、あたしにはフラストレーション溜まり過ぎ!たまらないからやめてってば』 聞いてないらしく美和の『あぁ~…』って声! 『姉貴、美和に何を!』 『背中に手をまわしてハグしただけよ』 『美和は感じやすいんだって~』
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