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「…イチ?」
「何してるの、こんなとこで?」
「ああ…何してんだろうな、俺…」
手袋もしないで鎖を握っていたから、すっかり冷たくなってしまった手。
鎖から外して両手をそろえて、正面にもってくる。
そのまま屈んでそっと息をかけて擦った。
「すっかり冷たくなってんじゃん」
「冬だからな」
「わかってんなら、手袋くらいしなよ」
少しでも暖かくなるように、擦る。
「イチ」
「ん?」
ホントはさ。
どうしてこんなとこに居んのとか、何でそんな顔してんのとか、いつからいたのとか、何やってんのとか。
質問攻めにしたい。
そんで、もうこんなことないように、オレが何とかしてあげられたらいいなと思う。
すいっと、ふぅちゃんがオレの手の中から手を引いた。
屈んだ姿勢からふぅちゃんの顔を見たら、にやりと微笑んで、ふぅちゃんはいきなりオレの首筋にその両手を当てた。
「ほわっ?!」
「あー…あったけー」
「つつつつつつ、冷たっ!ふぅちゃん、ものっそ冷たいよ!」
ひゃってした!
ひゃってした!
あわあわしてるオレを楽しそうに見ながら、ふぅちゃんはその手を離さない。
「おー。感覚なかったからな」
「なんでそんなことしてんの」
「別に」
「っていうか、何いきなり?!」
「お前、あったかそうだったから」
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