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さわさわと、ふぅちゃんが両手で俺の首を触る。
そのまま軽く両手で包まれた。
「…このまま、絞めてもいいか?」
俯いたふぅちゃんの顔は見えなくて。
どうしたんだろうってさっきの不安な感じが戻ってくる。
「いいよ」
「お前なぁ」
「ふぅちゃんがいいなら、いいよ」
「いいわけねえだろ、ばぁか」
乱暴に言い捨ててふぅちゃんはオレの首から手を離す。
あんなにふぅちゃんの手は冷たかったはずなのに、離されたとたんに、かえって寒く感じた。
ガシャンと音をたてて立ち上がり、足元の紙袋を拾うと、オレに差し出してきた。
「何?」
「預かりもの。お前の分」
「だから、何?」
「チョコだろ?バレンタインだから」
「ああ…」
って、え?
バレンタインのチョコ?
預かり物って…ふぅちゃんからじゃなくて?
中には確かに、いくつかのプレゼントパッケージ。
「ふぅちゃん…ふぅちゃんからじゃないの?しかも、預かり物って…」
「しょうがねえだろ、中学生女子から押し付けられてみろ、断れるかお前?」
「オレだったら断るよ」
「俺だって自分の分は断ったんだよ」
苦虫を噛んだような顔で、ふぅちゃんが言う。
自分の分は断ったって。
これはオレの分だって。
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