第1章

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さわさわと、ふぅちゃんが両手で俺の首を触る。 そのまま軽く両手で包まれた。 「…このまま、絞めてもいいか?」 俯いたふぅちゃんの顔は見えなくて。 どうしたんだろうってさっきの不安な感じが戻ってくる。 「いいよ」 「お前なぁ」 「ふぅちゃんがいいなら、いいよ」 「いいわけねえだろ、ばぁか」 乱暴に言い捨ててふぅちゃんはオレの首から手を離す。 あんなにふぅちゃんの手は冷たかったはずなのに、離されたとたんに、かえって寒く感じた。 ガシャンと音をたてて立ち上がり、足元の紙袋を拾うと、オレに差し出してきた。 「何?」 「預かりもの。お前の分」 「だから、何?」 「チョコだろ?バレンタインだから」 「ああ…」 って、え? バレンタインのチョコ? 預かり物って…ふぅちゃんからじゃなくて? 中には確かに、いくつかのプレゼントパッケージ。 「ふぅちゃん…ふぅちゃんからじゃないの?しかも、預かり物って…」 「しょうがねえだろ、中学生女子から押し付けられてみろ、断れるかお前?」 「オレだったら断るよ」 「俺だって自分の分は断ったんだよ」 苦虫を噛んだような顔で、ふぅちゃんが言う。 自分の分は断ったって。 これはオレの分だって。
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