第一章

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夜、治安の悪い都市部の裏路地を足早に歩を進める集団がいた。 特に夜行性というわけではなく、会社員だったり、学生だったり、不良だったり、お年寄りだったり、年齢層も性別も職種もバラバラな集団だ。 彼らはとある一室に向かっている。 その一室はとある建物の地下にあり、とある事情によりその建物から出入り出来なくなっている地下の一室。そこへは、地下水路や下水道からしか出入りできない。 故に、彼ら集団もとある建物の「手作り」の下水道入り口から、その一室に向かおうとしているのだ。 ちなみに、マンホールからでもこの一室にいくことができるが、下水道のなかは真っ暗であり、迷路のように複雑になっているのがこの都市の特徴であるため、どこからはいってぬも辿り着けるわけではないし、その入り口専用の行き方も存在する。 集団は廃墟となった建物に入り、その建物の隅にある彼ら「手作り」の入り口に立った。一人が懐から懐中電灯を取りだし、その一人が先陣をきる。 下水道のなかは真っ暗で、水の流れる音とごくたまにネズミが駆ける音や他の動物の音などが聞こえる。 大人一人が余裕で進めるほどの筒のなかを、その集団が前後を気にしながら中屈みになりながら進んでいく。細い長い真っ暗な筒のなかを進むと、いきなり目の前が広がり、開けたところにでた。 何処かのマンモス学校の体育館のような広さのある場所で、ここは大雨や台風のときなど大量の水が降ってきたとき、ここに水を貯める役割を持っている。他にも有事のときなど、地上で何かあったとき地下に逃げられるように、ここ以外にも広さ高さは劣るが開けたところが点々と点在している。 そして、ここはそういう避難的な意味合いもあるためか、薄暗いが足元と頭上に等間隔にライトが設置されている。
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