2章

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透は元々人の目を惹くような顔付きではあったが、それが更に魅力的に映る。 どこまでも俺を惹いてやまない。 払った前髪からクリアに見る透と視線が絡む。 ああ、なんで俺たち離れてるんだっけ?なんて考えてしまった。 なにか熱いものが込み上げてきて瞳に涙が溜まった。 「怜、ごめん。俺は取り返しのつかないことをした」 ちゅ、と軽い音を立てて、そう言った。 先ほどまで瞳に溜まっていた涙はどうやら透がキスで拭いとってくれたようだ。 「許してほしいとは言わない。信用してくれとも言わない。怜が好きなんだ、昔からずっとそれは変わらない。俺の傍から離れないでくれ」 懇願にも似たその言葉。 怜の胸に突き刺さる。 心臓が痛かった。 「怜、」 そう悲しそうに辛そうに名前を呼ばれて、壊れ物を扱うような手つきで怜に触れて、ゆっくりと抱きしめる。 ぎゅっと、抱きしめられる。 離れないでくれ、そう言われているような感覚に陥った。 怜もそろり、と透に応えようと腕を透の背中に回す。 抱きしめるまであと数センチのところで怜の腕は止まってしまった。 思い出すのは昨日のこと。 そう簡単に流せる話ではなかった。 許さなくてもいい、信用しなくてもいいと言ったが、その前に俺が"これまで通り"を振る舞えないのだ。 これじゃ、また同じことを繰り返すんじゃないのか? 怜は透に伸ばしかけた手をぎゅっと閉じた。 そのまま、抱きついている透の肩を押して距離を開けさせる。 「怜.....」 「ごめん、透。無理なんだ。許す許さないじゃない。信用するしないじゃないんだ。俺はどんなに透のことが好きでもいままでみたいに、何もなかった頃のように接することができない」 また、透の顔を見れなくなる。 どうして俺が後ろめたい気になるんだろうか。 「このまま元に戻っても、上手くいきはしないよ」 俺は心が狭いみたいなんだ。 好きな相手であればどんなことでも独占したくなるし、何より俺以外の人とシたその体で俺に触れてほしくない。 どうせ、続かない。 ああ、俺ってやつはどれだけめんどくさい奴なんだ。
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