第1章

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少しだけドアを開けてみる。 暗い室内にリビングの光が入るが2人は気付いてないようだった。 ドアを開ければより鮮明に聞こえる喘ぎ声とベッドのスプリング音。 ギシッギシッと激しく鳴らしている。 「あっ!あっ!」 男にしては声が高く、そして可愛らしい顔付きをしていた。 これは、俺に飽きた…ということなんだろうか。 いつも平日は俺が帰って来ないと分かっていてこうやって男を呼んでいたんだろうか。 中には女も居たのかもしれない。 それともいま抱いている男は本命なんだろうか。 どっちにしろ、俺は惨めでしかない。 いつもは、自分の容姿に全く無頓着な俺が恋人に会う前は小綺麗にして飽きられないように、尽くしてなんでもして。 それがこのざまなのか。 高校から付き合ってきたが、結局最後は何も残らなかったというのか 「冗談じゃねぇよ」 冷めた目で、声でそう呟いた。
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