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ガンッ!とドアを力強く叩いた。
その音には流石に気がついたのか2人はこちらを見る。
男はやはり可愛らしい顔をしていた。
白い肌に大きな瞳には涙が溜まって庇護欲を誘う。
どこか色香も漂っている。
当の俺の恋人は呆然といったような表情でこちらを見ていた。
ああ、俺に見られたのがそんなに信じられないか?
そうだろうなぁ、どれだけしてたのかは分からんが今まで気付きもしなかったもんな。
皮肉に笑った。
なんで俺はこんな時に笑えてしまうんだろうか。
「怜!違う、これは…」
「何が違う?今、俺が見ているのはお前が俺ではない奴とヤッてるという場面なんだけど」
優しく言うつもりはなかったがキツく言うつもりもなかったのに、図らずとも冷たい声が出てしまった。
「怜…」
泣きそうな恋人。
ああ、なんでそんな顔をするのに、浮気なんかした?
「俺は、これが初めてだと思うつもりもない。いつから、とかそんなこともどうでもいい。俺以外を求めた時点でこんな関係あっても意味なんかねぇよ」
舌打ちが出そうになるのを必死に抑えた。
「別れよう」
「…っ!!」
目を見開く恋人。
「それは、無理だ。」
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