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「男のカラダを鑑賞か?良いご趣味じゃねぇか」
皮肉たっぷりに言ってやる。反抗せず、言われた通りにしている俺自身にも腹が立つ。
「お前がやりたかったストリッパーじゃなくて残念だったな?─────おい、動くな、ちゃんと描けなくなるだろうが?」
ジッとしたまま、男の動きを目で追う。何やら、紙にペンを走らせているようだ。
絵を描いているのか?
ストリッパーの話は俺で終わりにしてやる。
「描けないって何だ?あんた、画家なのか?」
「趣味だと言っただろうが?そんな性格だからスエキチなんて名前を付けられれるんじゃないのか?」
「ス、スエキチ!?なんだ、そのおみくじみたいな名前は!俺の名前はスエキだ!」
一生懸命に反論するが、カラダは動けない。
「そうかそうか、良かったな。スエキチさん」
何が良かったのか、初めて笑った奴の顔は、薄暗くてよく見えなかった。
まさか、この男との生活が俺の人生を変えるとは、この時の俺には知る由も無かった……。
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