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「お前みたいなホームレスと一緒にするな」
「ホ、ホームレスだと!?」
「違うのか?」
鼻で笑いながら、男が俺を押し退け、後ろの黒い戸を開ける。
立て付けが悪いのか、ガタガタと嫌な音がして開けるのに苦労しているようだ。
「やけにボロいな、この戸は」
ブツブツと文句を発する俺の口。
男が苦戦しているのを横で見ていられなくなり、手を貸した俺だが、あまり役には立てなかった。
掴んだ瞬間に引き戸が開いてしまったのだ。
「その方がお前みたいな奴が近寄って来ないだろう?」
傘を畳み、戸の中に入っていく男。
「あのな、さっきから、お前みたいな奴、お前みたいな奴って」
ガタガタとしていたのが嘘のように戸がピシャリと俺の鼻先で閉まった。
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