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「おい!ちょっと待てよ!」
勢い良く戸を叩く。
叩く度に隙間から水が飛び散る。
「何だ?まだ何かあるのか?」
隙間が少しだけ空き、むさ苦しい髭面が顔を覗かせた。
眉間に皺を寄せた男に向かって、俺は唯一整った顔をフル活用し、中に入れてくれとアピールをする。
ただ首を傾げジッと見つめただけだが、大抵の人間ならば、これで……。
「馬鹿みたいな顔をするな。阿呆みたいだぞ?中に入れて欲しいんなら、ちゃんとお願いをしてみせろ。成功したら、中に入れてやっても良い。失敗したら、服を脱げ」
グサグサと俺の心に刃物が刺さる。
馬鹿と阿呆を並べて言わなくとも良いだろうに。
気になる点もある。
失敗したら服を脱げとは、どういうことなのか。
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