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「やるのか?やらないのか?」
「や、やるから、ちょっと待ってくれ」
「待たない。やるなら、さっさとやれ」
質の悪い奴がガタガタとわざとらしく戸を鳴らす。
早くやらなければ閉めるぞ?と俺を脅しているのだ。
雨の所為で体温が奪われ、寒い。真冬だ、このまま中に入れなければ、凍死してしまう。
目の前のコイツと会ったのは神様が俺に味方をしてくれたのかもしれない。
やるしかないと思った。
「……西海史スエキと言います。今日、無職になり、家も失いました。金も泊まるところも無く、このままでは凍死してしまいます。どうか、どうか……っ」
そこで俺の目から涙が零れ落ちた。申し訳ないが演技だ。
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