2318人が本棚に入れています
本棚に追加
/930ページ
「……っ!」
思わず、また声を上げそうになった。
近くのテーブルに置いてあった俺の携帯が、着信のバイブレーションに因って此方に落ちてきたのだ。自分の顔面に当たるところだった。
するりと手だけを毛布から出し、携帯を掴んだ。
「サクノ?こんな時間に?」
現時刻、朝の四時半。ガサツで面倒くさがりで、朝が弱いサクノが起きているのは珍しい。
「はい、もしもし?」
静かに電話に出る。最初、向こう側からはガサガサという音だけがしていた。いたずら電話かと思ったが、それはとんでもない間違いだった。
「もしもし!お兄ちゃん!?お母さんが!お母さんが……!お兄ちゃん、早く帰ってきて!」
凄く慌てた様子で口早にそれだけを言われ、妹に電話を切られた。
一体、何があったのか……。
最初のコメントを投稿しよう!