第1章

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『いってらっしゃい。』  イルカ達は一斉に潜っていきました。             *  岩陰を昇ると、そこは高くて。海が見えます。 太陽が、ゆっくりオレンジに染みて行きます。 陸をみると大きいです。森を10個重ねたみたいな 大きな森もあります。草原が広がっていて。  草原。懐かしいです。コノノがいた果てより広い。 木々に木の実はありません。喋ってくれないし。 怯えてるみたい。コノノは何もしませんよ。  陸の草木は何か用心深いんです。怖いのかな。  変なのは、コノノが立っている直前で草原が終って コノノは土の上です。この土が線を引いたみたいに 真っ直ぐ、あっちとこっちへ伸びています。まるで、 この線を引く為に、草木を苛めたような感じ。  なんだろう、これ。ここに生えちゃいけないって。 悲しくなってきて、ボンヤリと立っていました。  静かに海風が樹を揺らしました。 小さな声で樹が教えてくれました。 《ここに居ては夜になる。道を選んで進みなさい。》 「でも、どっちへ行けば。道……ですか?」  道については、何も答えてはくれませんでした。 名前も内緒ですか?いつからここにいるの? 《オリーヴの樹だ。大洪水の後の世界の始めから。》  コノノは道が伸びる方を地図に描いておきました。 この臆病な樹の位置も描きました。描き終わって。 日記を。今日の沢山の出来事、これからお勉強する 多くの事、色んな約束。歌。書いておかないと。 沢山書いて、描いて、暗くなって、星が灯って。  いつのまにか、樹の下で眠ってしまいました。  潮風。どこまでも遠くに吹いて。いつまでも陸を 扇いでいるようで。本当に疲れたいたのかも。 オリーヴさんは、コノノを抱くように静かに揺れて。  世界って、全部、描けるのかな。歌えるのかな。            *  ザラザラ。ザラザラ。ムニムニ。ムニムニ。 まだ眠いのです。もう少し経ったら呼んで下さい。  ペロペロ。ペロペロ。グリグリ。グリグリ。 まだ朝ご飯には早いと思います。何故かっていうと 今、とってもステキな夢を見ていたから。楽しくて。  海でジャンプして一回転して……ふに。 『お姉ちゃん。悪いけど此処はアチキの縄張りね。 それに、とっくに朝なのね。起きなさいね。』 「え、ああ、ごめんなさい!縄張りは、お家ですね。 ミミリハ先生に教わりました。すぐに起きます!」
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