第1章

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『フニ?お姉ちゃん、アチキの声が聴こえるのね?』 「は、はい。ごめんなさい。聴こえます。多少まだ、 寝惚けていますけど、ちゃんと聴いてます。」  目の前にいるのは誰だろう? お母様と住んでいた世界の果てには、いなかった。 トルトの海でも、見かけなかった。と、思う。 ミミリハ先生の島には、少し似ているのもいたかも。  違う。お母様のお勉強の本に載ってたんだ。 四本足で歩く。しなやかで、素早くて、美しい。 確か……獅子!凄く強い王様。とも違う感じ。 そうだ、ゾウかも!大きくてコノノの10倍。  でも小さい。頭が丸い。奇麗なグレーの毛並み。 「あなたは誰?」 『名前というのは自分が先に名乗るのね。誰ね?』 「ご、ごめんなさい。コノノです。十一歳と冬二回。 世界の果てっていう所から来ました!」 『フニ。なんだじゃあまだ子供なんだね。』 「洗濯と掃除と地図は描けますけど、子供ですか?」 『フニ。ちょっと勉強してる子供ってとこね。』 「丸い頭のグレーさんは?」 『フニ。アチキはショウロ。勉強が足りないのね。』 「ごめんなさい。獅子には似てるって思ったんです。 でも毛並みが違うし、ゾウとは全然違うなあって。 ショウロさんは、イルカのトルト達とかか、 ヤシガニのミミリハ先生ともとも違いますよね。」 『……。フニっとね。ショウロは名前じゃないね。 そういう種族なの。コノノは少し本を読んでるね。 猫という種族と狐という種族は、勉強したね?』 「えっと、お母様の本に絵で載っていました。 ネコというのは、ショウロさんみたいに丸いです。 キツネは、しなやかでショウロさんっぽいんです。」 『フニ。でも、違う。アチキはショウロ。 ネコに似ていて、キツネに似てる。けれども。 どちらでもない誇り高い動物。 この道を縄張りにしているのだけれどね。 ショウロ姐さんの、ポポナナね。』  はぁ。 「ポポナナ……ねーさんさん。コノノです! おはようございます!あと、はじめましてです!」 『フニ。おはようさんね。まぁ世界中にショウロが いるわけじゃないから、珍しいのは無理ないね。 コノノは勉強してる方だと思うね。』 「あのぉ。ポポナナねーさんさん。」 『フニ。なにね?』 「ずっと思ってたんです。【道】って何ですか?」 『フニニ。道をしらないのね?!道は世界の果てに 続く目印ね。そしてここの道の番人がアチキね。
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