world4

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愕然とする視界で、大きな拳が振り下ろされようとしているのが見えた。いつもは早く見える拳が、今は遅い。 ゆっくりな時間の中、僕の頬にあと少しで拳が届こうとしてーー。 『おにいちゃん!』 『えーー』 小さな壁が目の前を覆ったと思ったら、ガツンと鈍い音が耳に聞こえた。苦痛に耐えるかのように、息を飲む声がする。 なにしてるんだーーそう言いたいのに、衝撃の大きさに声が出ない。 チッと苛立った舌打ちとともに、邪魔なんだよ!と怒鳴り声が聞こえた。すぐに、また大きな拳が振り下ろされようとしているのが見えた。 それでも、目の前の小さな壁は消えない。 ーーこのままでは危ない。そう思ったら、身体が動いていた。 拳が振り下ろされる寸前で、小さな壁を後ろから引っ張った。小さな壁は消え、獲物を失った拳が空を切るのが見える。 だけど、安心なんてする猶予はなかった。怒りに顔を真っ赤にさせ、更に感情を高ぶらせた鬼が次の攻撃へと移ったからだ。 今度は長い足が襲ってくるのが見えてーー動こうとする気配があったものを掴んで背中に隠し、自分でもわけがわからないまま前に出た。 ・
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