プロローグ

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怖い鬼たちが、叫んでいた。 見つからないよう隠れた狭い押し入れの奥で、はあはあと悲鳴のように荒い息が漏れる。 薄い糸が張っただけの意識は何度も手放しそうになるのに、耳に入ってくる叫び声や物音で現実へ引き戻される。 苦しくて苦しくて。 恐ろしくて堪らない。 ――いい加減、気が狂ってしまいそうだった。 「おにいちゃん……」 恐怖に満ちた声で呼ばれ、はっと我に返る。 ・
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