プロローグ

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恐る恐る視線を落とすと、腕の中にいた幼い弟――蓮(れん)が今にも泣きそうな瞳で、縋るようにぼくを見つめていた。 瞬間、死にたくなるような罪悪感に、目頭が急激に熱くなる。 蓮の瞳にはぼくと同じものがあって……見ていると堪らない気持ちになった。 ――忘れてしまっていた。 ぼくが守らなければいけないのに、この子を一人にしてしまっていた。 ごめん……っ。 蓮を固く抱きしめ、震える唇を動かす。 「大丈夫……」 何がーー? 同時にそんな言葉まで飛び出しそうになって、ぐっと飲み込んだ。 苦しさに噎せそうになるのを、血が滲むくらい強く唇を噛んで耐える。 ・
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