拝啓、愛しの貴女へ

二年前

空が黒に染まりかけた頃。

徐に彼女は言った。

「今日はもう帰りなさい」

それは相変わらず優しい口調だったけれど、どこか突き放すようで。

彼女の前ではいつも反抗できない。

だから僕は、大人しくそれにしたがった。

「はい。……それじゃあ、また明日」

そう言って立ち去ろうとすると、服の裾を軽く引かれて振り返る。

「………また明日」