1人が本棚に入れています
本棚に追加
「冬樹!」
「……ん、どした?」
歩道橋のてっぺんから身を乗り出して僕に手を振る友人。
大学に入って知り合った、派手なモテ男。
チャラ男と言うわけではないけど、容姿端麗スポーツ万能。勉強はダメだが、気に入ったやつには犬みたいになつくいい奴。
あれから、僕はまだ彼女を探している。
諦めの悪い。情けない。
分かってるけど。
今さら気づいたんだ。
あなたが僕にとって、大切な人だってことに。
だから驚いたんだ。
「見てみ、俺の自慢の彼女ー!」
「おー、どれどれ…」
その待受画面に写る大人びた女性を見て、息を呑んだ。
「秋さんて言うんだ!美人だろ」
「あぁ…そうだな……」
上の空で声だけを聞きながら、画面から目が離せなかった。
見慣れたあの木の紅葉のような鮮やかな赤茶の髪。ふわふわのパーマがかかっている。
相変わらずの微笑。
やっと見つけた。
最初のコメントを投稿しよう!