喪失感

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「冬樹!」 「……ん、どした?」 歩道橋のてっぺんから身を乗り出して僕に手を振る友人。 大学に入って知り合った、派手なモテ男。 チャラ男と言うわけではないけど、容姿端麗スポーツ万能。勉強はダメだが、気に入ったやつには犬みたいになつくいい奴。 あれから、僕はまだ彼女を探している。 諦めの悪い。情けない。 分かってるけど。 今さら気づいたんだ。 あなたが僕にとって、大切な人だってことに。 だから驚いたんだ。 「見てみ、俺の自慢の彼女ー!」 「おー、どれどれ…」 その待受画面に写る大人びた女性を見て、息を呑んだ。 「秋さんて言うんだ!美人だろ」 「あぁ…そうだな……」 上の空で声だけを聞きながら、画面から目が離せなかった。 見慣れたあの木の紅葉のような鮮やかな赤茶の髪。ふわふわのパーマがかかっている。 相変わらずの微笑。 やっと見つけた。
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