【7】

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しかもその視線は、どこか睨み付けるみたいに強く、鋭い。その目で見られると、俺、なんかしたかなと毎回焦ってしまう 俺が見てない時はこれでもかって位ガン見してくるのに、視線が合えば必ずと言っていい程さとの方から外される 最初の頃は、とりあえず視線を送り返してみたり、顔を覗き込んでみたりした。そうすればさとは目を泳がせて慌てるから、いつもクールな感じのさとの、いつもとは違う一面が見れて驚いた それで調子に乗ってやり続けると、思わぬ鉄拳を食らってしまったりして 見つめられるのに慣れていないのか、それとも恥ずかしいのか。どこか泣きそうにも見える表情をするもんだから、こっちがおどおどしてしまったり でもごくたまに、堪え切れない様な、何かを押し殺す様な目でこちらを見てくる時がある。それは決まって、俺が誰かと話をしている時に向けられる視線だ 何か言いたい事でもあるのか。そう思い、一度だけ訪ねてみたものの、さとは少し言い淀んだ後でなんでもないと首を振った その後もさとが俺に視線を向けてくる事を止める事は無く、俺は何らかの感情が含まれたその視線を受ける度に、いつしか心臓に小さな痛みを感じる様になっていた 見られているからと言っても、実害は無い。さとは何も言ってこないし、それ以上何かがある訳でもない 本当に、ただ、見てくるだけ 次の瞬間、俺は自然と、ソファーから腰を浮かせていた。立ち上がり、さとの居るキッチンへと歩を進めさとの直ぐ後ろで足を止める 「さと」 「……う、おっ……!びっくりした」 「出来た?」 「あ、ああ。もう出来たから、座っとけよ……って、な、なに」 「んー、腹減ったから、待ち切れなかっただけ」 「だから、もう、出来たって」 俺がさとの肩にのしかかれば、さとの表情は瞬時に険しいものへと変わった 「こんな眉間に皺寄せたら、跡が残るのに」 「うるさい。とりあえず離せ。早く食べたいんだろうが」 「えー」 「…………」 「すみません」 俺は仕方なくさとから離れて、後ろから眺める事にした。身体を離せば、盛大な溜息をつかれてしまう 俺が触れると、さとは直ぐに身体を離そうとする。物凄く嫌そうな顔をして しかしどうしてだろう。嫌そうな顔をするのに、真っ先に染まる首筋がやけに目を惹く。真っ赤に色付くそこは、まるで熟れた果実みたいだ
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