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なんだ、この、反応
特になんでもない接触だった。なのに、さとの身体には目に見えてしまう程の変化があった。よく見れば、耳まで、赤い
どうしてなのか、気になった。気になったついでに真っ赤に染まる首筋に触れようとしたが、俺の指先が触れる前に距離を取られてしまった
伸ばしかけた手は、行き場をなくして彷徨った。俺はその手をおずおずと引っ込めると、さとに気付かれない様に小さな溜息を漏らす
……簡単には、触らせないってか
まるで、ガードが堅い女の子を相手してるみたいだ。こっちに気のある素振りは見せるくせに、触れる事は許さない。そんな女の子と、今のさとはどこか似ている
いや、まるで根拠はないんだけど
もしかして、人から触られると赤くなる体質とか?そんな事を考えてみたけど、昔はそんな事無かった様な、気がする
触れるつもりで手を伸ばしたのに、触れられなかった俺は何だか悔しくて仕方なかった
何事も自分の思い通りにならないと気がすまない性格は、俺の悪い所なんだろうな。そんな事を思いながらも、俺はもう一度さとの首筋に手を伸ばす
「~ッ、な、にすんだっ……!」
「ん?なんとなく」
首筋にほんの少し、指先を這わせれば、首筋と同じか或いはそれ以上に真っ赤になった顔で怒られた
首筋を押さえて狼狽える姿は、やっぱり珍しくてついもっとしたくなる。俺が触る度に、面白い位表情が変化して、何だか悪くないと思った
その表情の意味は、一体、何なんだろう
触れた瞬間の、この熱を帯びたみたいな、高い体温は
その真っ赤に染まる顔は、俺以外と居る時でも、同じ様になるんだろうか
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