【7】

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さとは、俺の事が好き そう思えば、今までの言動の意味も行動の意味も、全て理解出来る様な気がした 正直驚いたし、気持ちを知った今でも信じられないっていう気持ちはある。だって、俺は、男だし 男同士だからそれはあり得ないと、言い切る事も出来るが、それではあの言動や行動の意味が説明出来ないだろう 多分間違いない。さとは俺に、友情以上の気持ちを抱いてる 俺はさとに好意を寄せられている事を知って、気持ち悪いだとか、男同士なのに恋愛感情を抱くのはおかしいとは思わなかった 世間では、普通に考えて男同士で恋愛は成立しないのかも知れない。嫌悪する人だって居るし、まだまだそこまで同性愛には寛容では無いだろう でもそんなもの今は全て忘れて、俺はさとの事を、同性としてではなく一人の人間として考えた時にどうなのか、ゆっくりと時間をかけて考えてみた 俺は、さとに好意を寄せられて、どうだったのか。答えは思いの外簡単に出てきた 俺はただ、純粋に、嬉しいと思った。さとに好かれてる事が、本当に嬉しいと、そう強く思ったんだ さととは、本当に長い時間を一緒に過ごしてきた。それはもう、多分両親よりもずっと長い時間を だから、俺の良いところも悪いところも全部知ってる。さとの前では、俺はいつだって自然体で居れたから 時々、俺の事を外見しか見ずに好きだと言ってくる子が居た。でも俺は付き合ってからお互いを知って、それで好きになる事もあるだろうと思って付き合って そしたら、イメージと違っただのなんだのって言って振られて。その度にさとに泣きついて そう、さとには彼女に振られて泣く情けない姿だって、もう何度も見られてる。それでもさとはなんだかんだ言いつつ優しく受け止めてくれたし、朝まで俺の話に付き合ってくれた さとには弱い部分もダメな所も全部曝け出してるのに、それでも俺の事が好きだと思ってくれたのが、純粋に嬉しいと思う 外見だけじゃない。中身を知った上で、それでも好きで居てくれる 俺は男だからどうとかじゃなくて、さとだから、好きになってもらえた事が堪らなく嬉しいんだ
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